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Author: あぼかど

[すぐ理解できる]スターリングエンジンの仕組み

スターリングエンジンの仕組みを簡単に理解してみよう

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前回の記事でスターリングエンジンのメリットデメリット、使用例をご紹介しました。こちらをご覧になっていない方は下のリンクからご覧ください。

スターリングエンジンの主なメリットとして、外燃機関なので熱源が何でも良いことと静音であることが挙げられました。デメリットとして、加速性能が悪い、システムを作るのにとてもコストがかかる、大型化できないなどがありました。メリットはなかなか魅力的ではありますが、課題が多すぎてなかなか実用化されていないのが現実です( ;∀;)

今回は、なぜこのようなメリットデメリットが生まれているのかを説明するためにスターリングエンジンの仕組みを簡単にご紹介します!

スターリングエンジンの仕組み

基本的な動きは上の図のようになります。何が何だかわからないと思うので説明します。

まず、大きいピストンと小さいピストンが二つありますね。スターリングエンジンは基本二つ以上のピストンから構成されます。大きいピストンは高熱源と低熱源の間を行き来して、内部の空気をかき混ぜていますよね。これをディスプレーサーピストンと言います。一方小さいピストンはフライホイールを回転させています。このように仕事をするピストンをパワーピストンと言います。

ディスプレーサーピストンとシリンダの間には隙間があり、空気がその間を行き来することができます。空気が左に行けば、熱され暖かい空気になり、左に行けば冷まされ冷たい空気になります。空気が温められると、空気は膨張してピストンを右に押すことで仕事をします。逆に冷やされると圧縮されるのでピストンを左に押すように仕事をします。この空気の仕事によってパワーピストンを動かすことができます。

しかし、上の図では人の手でディスプレーサーピストンを動かしてるではないかと思った人も多いと思います。実際のところ空気を熱したり冷ましたりしてもピストンは自動で動くことはありません。これはフライホイールがある程度重さがあるため、これを動かすには力不足なのです。よって、最初に力を人の手によって加えてやることで持続的に動くことができるようになります。そして、フライホイールの重さ(遠心力)で回転を維持することができるので、フライホイールの重さを軽くするわけにもいかないのです。(実際のシステムだとモータか何かで最初に回す力を与えられる)

実際は、ずっと人の手で回すわけにもいかないので上のようにディスプレーサーピストンとパワーピストンの間を90度ずらして同じ回転軸に取り付けます。こうすることで最初に何かしらの力を与えてもらえば持続的に回ることができるようになります。

これは最も基本的なスターリングエンジンの仕組みです。同じ空気が右に行って冷まされ、左に行って温められ膨張、圧縮を繰り返して動いています。しかし、ピストンはとてつもない速さで動くので私たちが考えているほど遅く温められたり冷まされたりしていません。ほんの1秒の間に高熱源と低熱源を何十往復もします

また、熱効率と呼ばれるエンジンなどを評価するものがあるのですが、スターリングエンジンの熱効率を求める式は以下のようになります。

熱効率
η=(Thot–Tcold)/ Thot

高熱源の温度と低熱源の温度の差を高熱源の温度で割ったものになります。これからわかるように高熱源と低熱源の温度の差が大きいほど熱効率が大きくなることがわかりますね。

同じ空気を高熱源と低熱源の間を移動させているので、同じ空気をどれだけ効率よく温めたり冷やしたりできるかが熱効率をあげるポイントになります。ここで登場するのが再生器です。

再生器とは

一言で説明すると、空気の熱を預けておける銀行みたいなものです。先ほど説明した空気の移動を考えると、せっかく温めた空気を冷やして、また温めるというとてもエネルギーを無駄にしているように感じると思います。これは実際エネルギーの無駄になっています。ここで活躍するのが再生器です。

下の図で説明してあるように、温めた空気が再生器を通ると熱を一部奪って空気を冷ますと同時にその熱を保管しておきます。逆に冷めた空気が反対側から通ると保管しておいた熱を冷めた熱にあげて少し温度を上げてやることができます。

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<https://www.nmri.go.jp/oldpages/eng/khirata/stirling/regene00/regene_j.html>より引用

このように再生器を用いれば、一部の熱を再利用して使うことができるので効率が格段に上がります。これを考えた人すごくないですか⁈><

スターリングエンジンの種類

スターリングエンジンにはいくつかシステムの形があります。

まずは、α形とβ形とγ形です。

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左からα、β、γ形

PP(パワーピストン)とDP(ディスプレイピストン)はどちらもピストンです。Hは高熱源、Rは再生器、Cは低熱源です。HRCを全て合わせて熱交換器と言います。

それぞれ特徴があり場面によって使い分けられています。

α形は高出力であることが大きな特徴です。また他の二つの形に比べて構造が簡単のがわかります。デメリットとして、二つのピストンのどちらともに空気が漏れないようにシールをしっかり貼らないといけないことです。他の形に比べ空気が漏れやすい形になっています

β形はエンジンを最小化できることが特徴になります。また、内部の空気の流れを均一に保つことができます。よく見るとγ形と構造的には変わらないことに気づくと思います。DPとPPを縦に並べることで、β形はγ形よりスペースを有効活用し高出力を出すことができます。しかし、DPとPPの軸が同じ位置に来てしまっているので、くるくる回す駆動機構が複雑になってしまいます。

γ形はβ形のDPとPPの位置をずらした形になっています。ずらしているので、システム自体が大型になってしまうデメリットがあります。またβ形に比べ出力が出ないので、今ではほとんど使われていない形です。しかし、γ形のメリットはDPとPPの位置をどのくらいずらすか調整できるので、システム内の空気の通る体積を増やすことができます。これによって低温度差でも稼働できます。また、高温部におけるシール性(気体が漏れない性質)が高いので簡単に自作できることも利点の一つです。

もう一つ複雑にした形があります。ダブルアクティング形というものです。

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<https://www.nmri.go.jp/oldpages2/eng/khirata/stirling/type/type.html>より引用

これは4つピストンを使用し、隣あうピストンをHRCの熱交換器で繋げています。α形より高出力を出すことができ、かつ高出力の割に小型化できることがメリットです。しかし、見ての通り構造がかなり複雑になっています。

最後に

なかなか複雑なシステムなので難しかったかもしれません。

スターリングエンジンをもっと知ろうと思った方は他にもスターリングエンジンを紹介しているサイトがあるので見てみてください!

では最後までご覧いただきありがとうございます〜!

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